セム的一神教をルーツとするユダヤ教はユダヤ人の民族宗教で、4千年以上の歴史を持つと言われるユダヤ教にははっきりとした開祖はわかりませんが、 ユダヤの歴史は、アブラハム、息子イサク、孫ヤコブによって始まりったとされています。 ユダヤ教としては、BCE二千年頃カナン(パレスチナ)に移住したアブラハムの宗教と呼ばれる預言者アブラハムにさかのぼります。 BCE11世紀末ごろにヘブライ王国を建国し、BCE722年にアッシリアによって滅ぼされました, BCE922年ごろにイスラエル王国とユダ王国に分裂、BCE586年に新バビロニアに滅ぼされBCE538年にバビロン捕囚から解放されパレスチナに戻りました。 ユダヤ教はセム的一神教でヤハウェを唯一神としています。モーゼの十戒を信じることによってヤハウェから選ばれた民であり、律法(トーラー)を厳格に守る事で救われると考えました。 ユダヤ教はモーセの戒律から派生する多くの戒律にユダヤ人が従う義務があると考えられています。一神教であり偶像崇拝を禁じています。 彼らの預言は旧約聖書でユダヤ教の聖典である『ヘブライ語聖書』(旧約聖書)は、トーラー(五書)・ネビイーム(預言書)・ケトゥビーム(諸書)の三部構成で構成されています。
※アブラハム契約とは:神だけが約束した事柄を果たす義務があり、アブラハムは何の義務も果たす必要が無い神がアブラハムに対して結んだ一方的な契約です。
※セム的一神教:旧約聖書の『創世記』登場する主人公ノアの方舟で知られているノアの3人の息子(セム、ハム、ヤペテ)で、セムをルーツとすると伝えられ主に西南アジアの人をセム族と呼びます。そのセム族の一部が信じていたのがYHWH(ヤハウェ)を唯一、神とする宗教です。
※アブラハムの宗教:彼はユダヤ人の祖と目され、ユダヤ教やキリスト教そしてイスラーム教の世界でも「信仰の父」として尊敬されています。
※モーセの十戒(シナイ契約):モーセの指導により民族がエジプトから脱出し、シナイ山において神ヤハウェとの十の契約
要約すると下記の通りです。神を第一に崇め 偶像を作らない 神の名を汚さない 安息日を守る 両親を敬う 殺さない 姦淫をしない 盗まない 偽証をしない 他人の財産をむさぼらない ※宗派や解釈により微妙に違いがあります
日本にはユダヤ教の信者がごくわずか存在しますが、彼らは少数派であり、ユダヤ教の宗教的な伝統を実践する人々の数は非常に少ないとされています。日本において、ユダヤ教に関する興味や研究が行われることはあります。たとえば、東京にはユダヤ博物館があり、ユダヤ教に関する展示やイベントが行われています。また、日本にはユダヤ研究者やユダヤ教に関する学術研究を行う人々も存在します。日本在住のイスラエル国籍者は800名を超え、非常に少ないですがユダヤ教に改宗した日本人も存在します。 ユダヤ教徒=ユダヤ人です。ユダヤ教徒になれるのはユダヤ人だけで、日本人もユダヤ教に改宗すれば、ユダヤ人になる事ができます。シナゴーグと呼ばれるユダヤ教の会堂は全国に4つ(東京、横浜、名古屋、神戸)あります。
キリスト教とは、紀元1世紀にユダヤ地方で生まれたイエス・キリストを救世主とする宗教です。 キリスト教の教えは、イエス・キリストが人間の罪を贖うために死んだこと、そして彼が3日目によみがえったことに基づいています。 紀元前1世紀、ローマに征服された頃に始まるユダヤ教の変質とともに保守派と改革派の対立がはげしくなりユダヤ教から分岐し、独自の信仰体系を持ちました。 30年ごろ、イエスはローマの支配を脅かす恐れがあるとして処刑され、イエスの復活を信じた者の中から彼こそ救世主(キリスト)であると信じる教団が生まれました。 初期は「ユダヤ教イエス派」として活動していましたが、ペテロやパウロなどの使徒の布教活動により、キリスト教が地中海世界に広がり、ユダヤ人以外の信徒が増えていきました。、紀元70年以降キリスト教という独立した宗教世界宗教となりました。
キリスト教とユダヤ教との主な違い
キリスト教では、唯一神を信仰する一神教でキリスト教が世界宗教に展開していったのに対してユダヤ教はあくまでも民族宗教として存在し、互いに認め合うことのできない関係になってしまいました。 キリスト教では、神はイエスとして受肉し顕現した(現れた)とし、父(神)と子(イエス)と聖霊は一体であるとする三位一体説と説く(カトリック、プロテスタント共通)。しかし、ユダヤ教では神は不可視であるとして顕現、受肉を否定する。 キリスト教では、人類の原罪からの救済は、メシア(救世主=キリスト)の犠牲なしには不可能であるとするが、ユダヤ教では個人は直接に神と向き合い、それぞれの努力によって救済されると考える。 キリスト教では、メシアは神性をおび、イエスとしてすでに顕現したとする。ユダヤ教ではイエスをメシアとは認めず、単なる異端者に過ぎないと考える。従ってユダヤ教では『旧約聖書』だけが聖典であり、『新約聖書』は排除する。 キリスト教では、ローマ教皇を頂点とした教会―信徒が組織化され特にローマカトリックでは偶像崇拝には柔軟であるが、ユダヤ教では中世以降、それを厳しく禁止しています。
日本にキリスト教が伝来したのは1549年に、フランシスコ・ザビエルらによって行われた布教活動が始まったことがきっかけです。以来、日本にはカトリック教会やプロテスタント教会など、さまざまなキリスト教の教派が存在しています。 日本においてキリスト教が浸透したのは、江戸時代の禁教政策が終わった明治時代以降です。明治時代には、キリスト教が西洋文化とともに日本に取り入れられ、多くの人々に受け入れられました。また、戦後のGHQによる宗教の自由化もキリスト教の普及に貢献しました。 現在、日本には約200万人のカトリック信者がおり、またプロテスタント教会や聖書信仰派、ペンテコステ派などのプロテスタント系の教会も存在します。また、日本のキリスト教界には、社会事業や慈善活動などの分野で活躍する人々も多くいます。 しかし、日本のキリスト教界は、多くの宗教が存在する中でも少数派であり、日本人の信仰においては仏教や神道が主流となっています。また、キリスト教に対する偏見や誤解も存在し、カルト扱いされることもあります。 。
ギリシア語のカトリコス(katholikos=普遍的)にもとづく、ローマ‐カトリック教会とギリシア東方正教会の教義によるものの総称。カトリック教会は、ローマ教皇を最高指導者として全世界に12.4億人の信徒を有するキリスト教最大の教派で、ローマ・カトリック教会とも呼ばれています。 世界中の多くの国で信徒を持ち、司祭、修道士、修道女などの聖職者によって指導されています。カトリックの信仰の中心は、聖書と伝統に基づく教義であり、特にキリストの救済、三位一体、聖餐、聖母マリア、聖人たちなどが重視されています。 カトリックでは聖職者のことを神父と呼び、礼拝の歌もカトリックでは聖歌と呼びます。典礼を重視し、聖体拝領や懺悔の秘跡、洗礼などの7つの秘跡を行います。 カトリック教会は、歴史的にはキリスト教の中心的な教派であり、西洋文化に大きな影響を与えました。現在でも、カトリック教会は世界中で多くの信徒を持ち、宗教的・文化的に重要な役割を果たしています。
プロテスタントは、16世紀初めにカトリック教会の改革を主張した人々によって成立した教派です。新教徒とも呼ばれます。プロテスタントでは聖職者のこと牧師、宗教歌のことを賛美歌、神に対して祈りを捧げる事を、プロテスタントでは「礼拝」と呼びます。 16世紀にマルティン・ルターの宗教改革から成立しローマ・カトリック教会から分離した教会を指します。信者は5.5億人で、福音主義を理念とするキリスト教諸教派です。 プロテスタントの信仰の中心は、聖書に基づく教義であり、キリストの救済、聖書の権威、信仰義認、聖餐などが重視されます。多数の教派があり、聖書解釈や教義についての見解が異なります。プロテスタントの教派には、ルター派、改革派、メソジスト、聖公会、バプテストなどがあります。 宗教的・文化的な影響は、カトリック教会と同様に大きく、特に近代の西洋社会に大きな影響を与えました。現在でも、プロテスタントは世界中で多くの信徒を持ち、宗教的・文化的に重要な役割を果たしています。
聖公会はイングランド国教会を母体する教派、西方教会におけるカトリック教会とプロテスタントの中間として「中道」の教会です。世界中に7,000万人以上の信徒を有しています。日本では、約4万8千人の信徒が信仰生活しています。 聖公会は、英国国教会とも呼ばれるキリスト教の教派の一つです。聖公会は、16世紀にイングランドで宗教改革の時期に成立し、エリザベス1世によって国教とされました。 聖公会の信仰の中心は、聖書に基づく教義であり、キリストの救済、三位一体、聖餐、聖書の権威、信仰義認などが重視されます。典礼を重視し、バプテスマ、洗礼、聖体拝領などの儀式を行います。 聖公会は、英国王室の儀式や、議会での祈りなど、英国社会において重要な役割を果たしています。また、世界各地に教会があり、特に英語圏の国々に広く信徒を持っています。聖公会は、プロテスタントの教派でありますが、カトリック教会との共通点もあり、ハイ・チャーチ派と呼ばれる一部の教区では、カトリック教会に近い典礼が行われることもあります。
正教会の信者は世界で2.8億人です。主に4つの古代総主教庁(コンスタンティノープル総主教庁、アレクサンドリア総主教庁、アンティオキア総主教庁、エルサレム総主教庁)で構成されています。 東方正教会とも呼ばれます。1054年にローマ・カトリック教会と分裂した後、独自の発展を遂げました。ビザンチン帝国の首都であるコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)を中心として発展し、現在では世界中に広がっています。日本にも日本正教会があります。聖書と伝統を重視し、聖三位一体を信じることが特徴です。美しい典礼と聖歌で知られています。 聖書と教父の伝統に基づく教義を中心に信仰しています。信仰の中心は、三位一体、キリストの救済、聖母マリア、聖餐、聖人たち、秘跡(バプテスマ、懺悔、聖体拝領など)があります。聖像崇敬や教会の装飾に重視を置き、美術や音楽などの芸術文化も豊かです。 ギリシャ正教会やロシア正教会、ルーマニア正教会など、国によって教派名が異なりますが、信仰や教義は共通しています。
イスラム教は、ムハンマドによって7世紀にアラビア半島で創始され約18.5億人のイスラム教徒がいると言われている、世界的な宗教の一つです。イスラム教徒は「ムスリム」と呼ばれ、神を「アッラー」と呼び、彼の教えを中心に信仰生活を送っています。 最も重要な教義は、アッラーが唯一の神であるという「唯一神教」です。また、ムハンマドはアッラーから啓示を受け、それを聖典としてまとめた「コーラン」を信仰生活の中心的な聖書としています。 5回の礼拝を行うこと、断食、貧しい人々への施し、巡礼(ハッジ)などの宗教的な行為を守ることが求められます。また、飲酒や賭博などの不道徳な行為は禁止されています。 現在、世界の人口の約1/4がイスラム教徒であり、先はキリスト教徒の人口を上回り、世界人口の3人に1人がムスリムになると推計され中東を中心にアジアやアフリカ、欧州にも広がっています。
日本のイスラム教は、比較的新しい宗教であり、日本人の間での信仰者は少数派です。最初にイスラム教が日本に伝えられたのは、16世紀にポルトガル人が日本に来航した頃で、当時の日本人たちがキリスト教と混同して伝えられたとされています。しかし、その後、日本には長い間イスラム教が存在せず、20世紀以降に外国人労働者や留学生の増加に伴い、徐々にイスラム教徒が増えていったとされています。 現在、日本には多数のモスクが存在し、外国人労働者や留学生、日本人のイスラム教徒などが礼拝を行っています。また、日本にはハラール食品店やハラールレストランも存在し、イスラム教徒の方々にとってのライフスタイルをサポートする施設も整ってきています。 日本のイスラム教の信仰者は、多様な国籍、文化、人種の人々で構成されており、イスラム教徒同士が共に生活するコミュニティや、宗教教育を受ける施設も存在しています。
コーランとは、イスラム教の聖典であり、アラビア語で「クルアーン」といい、「詠唱すべきもの」を意味します。アッラーから啓示を受けたムハンマドによって7世紀にまとめられた、アラビア語で書かれたテキストのことを指します。 ムスリムたちの信仰生活において中心的な位置を占めており、アッラーの教えやムハンマドの言葉、神と人間との関係、倫理的な価値観などが記されています。 114の章(スーラ)から構成されており、それぞれの章は独自のテーマを持っています。また、コーランにはムスリムたちが礼拝の際に唱える短い祈りや、日常生活に役立つ教訓なども含まれています。 アラビア語で書かれた原典が正統なものとされており、世界中のムスリムたちにとって非常に重要な聖典となっています。世界中で数多くの言語に翻訳されており、多くの非ムスリムの人々にも読まれています。
ハディースとは、イスラム教の聖典であるコーランに加え、ムスリムたちの信仰生活や法律、倫理的な価値観に関する情報を提供する、ムハンマドの言行録や伝承集のことを指します。 ムハンマドが実践した言動や言葉を、彼の友人や弟子たちが口伝えに伝え、後にそれらを書き留めたものです。ハディースには、ムスリムたちが礼拝や断食などの宗教的な行為を遂行する方法や、社会的な行動や言葉の適切な使い方、モラルや倫理観などが含まれています。 ムスリムたちが日々の生活で実践する上で非常に重要な指針となっており、コーランと共にイスラム教法(シャリア)の基礎を形成しています。また、ハディースは信頼性に関する論争があり、一部のハディースは信憑性が低いとされていますが、正確に伝承されたハディースは、ムスリムたちの生活において非常に有用な情報源となっています。
禁止事項は、「ハラーム(Haram)」と呼ばれ、イスラム教徒はこれらの行為を避け、代わりに「ハラール(Halal)」と呼ばれる許容された行為を行うことが求められます。
五大預言者とは、イスラム教において、特に重要な位置にあるとされる5人の預言者のことを指します。彼らは、ノア、アブラハム、モーセ、イエス・キリスト、ムハンマドのことを指します。イスラム教では、これらの預言者たちが、神からの啓示を受け、人々に神の教えを伝えたとされています。 彼らのうち、アダムは人類の最初の預言者とされ、ノアは大洪水の前に世界中の人々に神の教えを伝えたとされ、アブラハムは一神教の父とされ、イスラム教ではカアバを建てたことでも知られています。モーセは、十戒を伝えることで有名であり、イエスは、イスラム教においては偉大な預言者として尊敬されています。